渋谷動物医療センター・小薗江 亮太 院長インタビュー

ペット健康診断メディア PetPort

東京都渋谷区

「行きやすい病院」が、病気の早期発見と未病につながる

渋谷動物医療センター

小薗江 亮太 院長

麻布大学卒業後、救急センターやグループ病院の院長を経て、渋谷動物医療センターで呼吸器科を立ち上げた小薗江亮太先生。診察室でまず飼い主に「座っていただく」スタイルに込めた哲学、そして「行きやすい病院こそが未病につながる」という信念を伺いました。

経歴

大学卒業後地域の中核病院で犬猫・小動物の外科手術を経験
その後24時間対応の救急センターで集中治療に従事
グループ病院都内有数のグループ病院の本院院長を務め、呼吸器科を設立
現在渋谷動物医療センター 院長

所属・資格

 日本獣医がん学会

 日本獣医エキゾチック動物学会

 鳥類臨床研究会


 2017年 The RECOVER initiative hereby certifies 取得

 2019〜2021年:日本獣医生命科学大学・放射線科研修生

行きやすい病院が、未病の第一歩です

目次

「座ってもらう」診察スタイルに込めた哲学

─ 診察で特に大切にしていることは何ですか

動物病院の診察では、限られた時間の中で必要な確認を進める場面も多い中、渋谷動物医療センターでは診察室でまず飼い主に「座っていただく」ことを大切にしています。

「焦っている飼い主さんの話は、いろいろ飛んでしまうんです。私たちが本当に知りたいのは、いつからなのか、どのくらいの頻度なのか、数値化できる情報。それを引き出すために、まず座ってもらって、一旦落ち着いてもらう。そうすると、逆に私たちが聞きたいことに早くたどり着ける」

「立って喋ると座って喋るとでは、お互いの心の開き方が違う。意図してやっているというより、最初の修行時代からずっとそうしてきたスタイルです」

さらにこのスタイルには、AIが台頭する時代を見据えた考え方も根底にあります。

「いずれ動物医療でもAIに負ける部分は出てくる。AIが入ってこれない領域を考えたとき、やっぱり話を引き出すこと、身体検査——そういった部分はまだ人間が活躍できる。だからこそ、そこを重視しています」

─ 他の病院と比べて、当院の強みは何ですか

ワクチンや健康診断のような日常的な診療こそ、飼い主さんとの信頼関係を築く大切な機会だと小薗江先生は考えています。

「最初の診察でここまで見ているんだ、と伝えることで信頼が生まれる。最初の1時間で、その後の10時間を買うような感覚です。先生と飼い主さんの間に信頼があれば、何かあったときにすぐ相談してもらえる。それが結果的に、早期発見につながると思っています」

救急・外科・呼吸器科で培った”見逃さない”診療

─ 先生のキャリアについて教えてください

麻布大学卒業後、小薗江先生は地域の中核病院で犬猫の一般診療にとどまらず、うさぎやフェレットなど小動物の外科手術を幅広く経験。その後、24時間対応の救急センターで集中治療に携わり、都内有数のグループ病院では本院院長を務めながら呼吸器科を自ら立ち上げ、紹介診療・二次診療を担ってきました。

「1次診療、2次診療、救急医療、大学病院——数多くの診療現場で学んだことで、大学病院や救急病院に紹介した先でできること・できないこと、通院頻度や治療にかかる時間・費用など、それぞれの動物や飼い主さんにかかる負担を知っています。その経験を、かかりつけ医として活かしていきたいと思っています」

─ 呼吸器診療で心がけていることはありますか

「咳」というひとつの症状をとっても、その原因は多岐にわたります。

「同じ咳で来ていても、季節によって効果的な薬すら違う。引き出しが少ないと、効かなくて困ったな、ということになってしまう」

「息を吸っている時と吐いている時で撮り分けたり、胸のどちら側を見たいかで枚数も変わる。通常2〜3枚で済ませてしまうところを、3〜5枚撮って診断をつける。検査をするからには、『とりあえず撮っておきます』ではなく、どこを確認したいのかという目的を持って行いたい」

「病院に着いたら咳が止まってしまった、というケースも多い。動画や音があると診断の精度が全然違います。呼吸器では特に、こうした『生きた情報』が大事です」

健康診断で見つかる、症状が出る前のサイン

─ 健康診断ではどのような異常が見つかりますか

先生の実感では、検査で異常が見つかる子の中には、飼い主さんが症状にまったく気づいていないケースも少なくありません。

「お腹の中はブラックボックスで、動物は言ってくれない。胆嚢の問題や脾臓の腫瘍も、症状が出る前に超音波で見つかることが多い。肝臓も『沈黙の臓器』と言われますが、数値が高い子が来ても、本人も飼い主さんもまったく気づいていないことがよくあります」

パテラ(膝蓋骨脱臼)、股関節の問題、膀胱結石、脾臓や腸の腫瘍——これらは、定期的な健診があるからこそ早期に発見できるものです。

─ 健康診断の頻度はどのくらいが目安ですか

「3歳くらいまでは年1回を基本に。5歳以上になったら最低でも年2回は見た方がいい。ただ年2回といっても、毎回同じ検査をするのではなく、年間を通してテーマを決めて全身を見ていくやり方も提案しています。一度に全部やらなくても、トータルで全身を把握できればいい」

予防の本当の意味——「なるリスク」と「なった時のリスク」

─ ワクチンやフィラリア予防について、どのように考えていますか

子犬・子猫を迎えたばかりの飼い主さんとは、ワクチンや狂犬病、フィラリアの予防について、特に時間をかけて話すと小薗江先生は言います。

「この2〜30年で、伝染病で亡くなるワンちゃんはほとんど見なくなりました。それは完全にワクチンのおかげなんです」

ここで先生が強調するのが、「なるリスク」と「なった時のリスク」という考え方です。

「予防が広まったことで、病気になるリスク自体は下がっています。一方で、もし発症してしまった時のリスクはむしろ大きくなっている。フィラリア症も同じで、都内では感染するリスクは低くなっていますが、対応できる病院や先生も少なくなっている。小型の子だと、一度感染しただけで突然亡くなることもあります」

─ ネットやAIで調べてくる飼い主さんも増えていますね

情報があふれる時代、ネットやAIで調べてから来院する飼い主は増えています。先生はそれ自体を否定しません。ただ、情報の受け取り方には注意が必要だと話します。

「ネットの情報だけで予防しないのも、ドクターの話を信用してしっかり予防するのも、最終的には飼い主さんの選択です。ただ、こういう視点で予防していかないと、昔だったら治っていた病気で命を落としてしまうかもしれない。それはきちんとお伝えするようにしています」

たとえばトイプードルで「膝が悪い」とネットで調べてくる飼い主は多いといいます。しかし膝だけを見て手術を急ぐと、隠れていた股関節の問題を見落とすこともある。だからこそ、調べてきた情報に、専門家としての視点を一つ加えて伝えることを大切にしています。

飼い主様へのメッセージ

─ 飼い主さんに伝えたいことはありますか

「いい病院、いい先生というのは、飼い主さんとペットと先生それぞれの相性で決まる。100人全員に合う病院はない。でも、60〜80人にとって合う病院を目指したい」

小薗江先生が大切にしているのは、飼い主さんが「気軽に来られる」という感覚です。

「行きやすい病院だと、吐いたその日に来られる。行きにくい病院だと、2〜3日様子を見てしまう。その差が、重症化のリスクになる。軽症のうちに来てくれれば済んだものが、2日間ペットがしんどい思いをすることにもなる」

「AIが出す答えは、見た人の主観でプライオリティが変わる。私たちのプライオリティとは違うことも多い。だからこそ、先生と飼い主が話せる関係がある病院を見つけてほしい」

行きやすく、話しやすい。その関係性こそが、病気の早期発見・早期治療につながる。それが小薗江先生の考える「未病」の本質です。

渋谷動物医療センター 基本情報

医院名渋谷動物医療センター
院長小薗江 亮太 院長
住所〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1丁目15-20
電話番号03-6421-0960
診療時間9:00〜12:00/16:00〜19:00
夜間診療火・水・木・金 20:00〜22:00 ※最終受付21:00
休診日月曜日
診療対象犬・猫・鳥・うさぎ・フェレット・モモンガ・リス・ハムスター・モルモット・ハリネズミ・チンチラ
公式HPhttps://samc.co.jp/

取材・監修者

PetPort編集部

PetPort

ペット健康診断メディア

獣医師さんへの取材を通じて、ペットの健康と動物病院の正しい情報をお届けします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次