
ペット健康診断メディア PetPort
神奈川県 横浜市金沢区
「動物にも、ご家族にも、無理のない医療を。」──1968年の開業から二代にわたり、地域に寄り添い続ける動物病院
茨木動物病院
茨木 一成 獣医師
横浜市金沢区西柴で1968年に開業した茨木動物病院。北海道大学を卒業後、大阪の動物病院での勤務医時代を経て、父の後を継ぎ二代目院長となった茨木一成先生は、血液検査や超音波検査を軸に、身体への負担が少ない内科的な治療を大切にしています。専門的な手術が必要な場合は他院と連携し、「ここまではできる」という範囲を丁寧に伝えた上で、飼い主様に選択肢を示すスタイルを続けてきました。動物のQOL(生活の質)だけでなく、ご家族のQOLも考慮しながら、二代にわたり地域に寄り添い続ける茨木院長にお話を伺いました。
経歴
| 北海道大学獣医学部 卒業 | |
| 卒業後、父の知り合いの動物病院(大阪)にて約3年間、犬猫・鳥・ハムスターなどの診療経験を積む | |
| 茨木動物病院にて両親と共に診療にあたる | |
| 父・茨木二郎氏の跡を継ぎ、二代目院長に就任 |
定期的な健康診断で、大切な家族の健康を守りましょう
獣医師への道──きっかけ・勤務医時代
─ 獣医師を目指したきっかけを教えてください。
正直なところ、最初から獣医師になるつもりだったわけではありません。父が獣医師をやっているという環境はありましたが、父は手先が器用で外科手術が得意なタイプで、自分はそこまで手先が器用ではないと思っていたので、「自分には無理だろうな」と感じていました。ただ、高校で進路を考える時期になり、その頃までに父の知り合いなど色々なタイプの獣医師と接する機会があり、「獣医師にもいろいろなタイプがいるんだな」と分かってきました。それなら自分にもできるかもしれない、こういう環境もあるならやってみてもいいかな、と思うようになったのがきっかけです。動物自体は昔から好きで、家には常に犬か猫がいる環境で育ちました。
─ 北海道大学をご卒業後、お父様のお知り合いの動物病院で経験を積まれたそうですが、その頃のことを教えてください。
当時は今のようにはっきりした研修制度があったわけではなく、卒業後2〜3年ほどどこかの病院に勤めてから独立するというパターンが一般的でした。国家試験の勉強で手一杯で、自分では特に就職先を探していなかったのですが、いざ試験が終わったタイミングで、父の紹介で大阪の病院に勤めることになりました。地元は横浜で、大学は北海道だったので、大阪での生活は最初は戸惑うことも多かったです。3年ほど勤務し、当初は右も左も分からない状態で、他の先生たちの見よう見まねで仕事を覚えていきました。


父の跡を継いで──二代目院長として
─ 1968年にお父様が開院され、二代目として茨木動物病院を継がれたそうですが、承継にあたって大切にされたことを教えてください。
特別に話し合ったわけではないのですが、「患者さんの役に立つように」という点は変わらず大切にしています。ただ、時代によってニーズは変わってきていると感じます。父の頃はまだ動物医療がそこまで発展していなかったので、勉強しながら自分のところでできることは全部やる、というスタイルでした。今は、できることは自分たちで対応しつつ、専門性が必要なものは、その分野の専門の先生に任せる、という分業的な考え方に変わってきていると思います。

飼い主様に寄り添った丁寧な診療
─ 血液検査や超音波検査を中心に、身体に負担の少ない治療を心がけているそうですが、この診療スタイルへのこだわりを教えてください。
動物は自分が何をされているのか理解できません。人間側の判断で「これをした方がいい」と思うことがあっても、本当に必要な範囲でだけ行うようにしています。必要以上に負担をかけないことを、常に意識しています。自分のところでできる範囲のことをお伝えした上で、「ここまでは対応できるが、それ以上を望むのであれば専門の病院がある」という形で選択肢を示すようにしています。最終的にどちらを選ぶかは、飼い主様のご判断に委ねています。
─ 食事療法にも力を入れられているそうですが、犬猫の個体差に合わせてどのようなアドバイスをされていますか。
犬は食べ過ぎで太っている子が多いので、体重管理をお勧めすることが多いです。猫は食事の好みへのこだわりが強く、気に入らないものは食べない子も多いので、食事の変更はハードルが高いことがあります。その場合は、普段食べているものに少しずつ混ぜていくなど、工夫しながら試していただくことになります。


動物にやさしい診療スタイル
─ 診察の際、動物を怖がらせない工夫を何かされていますか?
反応を見ながら触るようにしています。特に子犬や子猫が初めて来院した時の印象はその後もずっと残ってしまうので、無理はさせないようにしています。おやつを使って、少しでもリラックスしてもらえるよう工夫することもあります。飼い主様の動物への愛着は、昔に比べて強くなっているように感じます。色々なことをしてあげたいと考える飼い主様が増えている印象がある一方で、そこまでは求めないという方もいらっしゃいます。飼い主様の考え方に応じて、こちらの対応も柔軟に変えていく必要があると感じています。
─ 犬猫のほか、鳥やウサギ、ハムスターなども診療されているそうですが、対応で気をつけていることはありますか。
専門でやっているわけではないので複雑な対応はできませんが、一般的な診療は行っています。ウサギや鳥など、外敵に襲われる側の動物はストレスに弱く、明らかに具合が悪そうに見える時にはすでにかなり深刻な状態であることが多いので、その点は特に注意して診るようにしています。

健康診断・予防医療について
─ 健康診断はどのくらいの頻度で受けるのが理想だとお考えですか。
まずは年に1回が目安になると思います。持病がある場合や高齢になってきた場合は、頻度を上げることをお勧めしています。ただ、動物にとって頻繁な通院がストレスになる面もあるので、そのバランスも考える必要があります。継続的に検査をしていれば、数値の変化を何年もかけて追うことができ、それが本当に病気なのか、たまたまの数値のブレなのかを判断する材料になります。逆に、数値が少し異常だったからといって、動物自身には何も症状が出ていないのに、数値だけを目的に治療するのが正しいのかというと、それも難しい問題です。何でもかんでも検査すればいいというものでもないと思っています。
─ 健康診断で早期発見につながった症例はありますか。
検査で引っかかる項目が見つかることはあります。ただ、それをすぐに治療につなげるかどうかはまた別の判断になります。食事を変えるか、薬を始めるか、いくつかの選択肢をご提案した上で、最終的にはご家族に選んでいただく形にしています。

地域のホームドクターとして
─ 開院から50年以上、地域に根差した診療を続けてこられて、印象に残っているエピソードはありますか。
石を誤って食べてしまう癖のある子で、お腹を3回も切らなければならなかったケースがありました。硬いものが好きな性質だったようで、退院後もしばらくは柔らかいご飯しか食べられない時期がありましたが、元気になってからは網かごをつけて散歩するようになったと聞いています。もう一つ印象に残っているのは、尿道の病気(尿閉)で手術をした猫の子です。手術後に傷口の状態が悪くなり、うまく排尿できなくなってしまったため、お腹の横から膀胱にチューブを通し、しばらくの間はご家族に排尿の管理をしていただくことになりました。半年近く経って皮膚の状態が落ち着いたタイミングで、もう一度尿道の再建手術を行い、無事にチューブを外して普通の生活に戻ることができました。
─ 海外の獣医師を招くセミナーで通訳をされることもあるそうですが、この活動について教えてください。
大阪の病院での勤務を終えて帰ってきた後、アメリカ・フロリダで、日本人として現地の大学で専門医の資格を取って働いていた先生のもとを訪ね、研修のような形で見学をさせていただいたことがありました。その後、オハイオ州の病院も紹介していただき、そちらでも実習させてもらいました。これとは別に、年に数回、海外から講師を招いてセミナーを行う団体があり、その資料の翻訳を手伝ったことがきっかけで、後に関わるようになりました。コロナ禍前までは、東京・大阪・福岡の3都市で同じ内容の講演が行われており、そのうち1箇所で通訳を担当していました。


飼い主様へのメッセージ
─ 最後に、飼い主様へメッセージをお願いします。
動物のQOL(生活の質)を守ることはもちろん大切ですが、それと合わせて、ご家族の方のQOLもある程度考慮する必要があると考えています。「こうなったら、こうしなければならない」という決めつけをできるだけしないようにして、動物の状況とご家族の状況、その両方を踏まえた上で、動物にとってもご家族にとっても一番良い形を一緒に考えていきたいと思っています。何かあれば、いろいろご相談いただければと思います。

茨木動物病院 基本情報
| 医院名 | 茨木動物病院 |
|---|---|
| 院長 | 茨木 一成(いばらき かずなり) 獣医師 |
| 住所 | 神奈川県横浜市金沢区西柴3-22-13 |
| 電話番号 | 045-781-0012 |
| 診療時間 | 午前9:00-12:00 / 午後18:00-20:00 午後16:00-18:00は予約診療のみ対応 休診日:木曜午後・日曜・祝日 |
| 診療科目 | 一般内科・外科、各種検査(血液・血清生化学・X線・超音波・心電図・細胞診)、去勢・不妊手術 |
| 診療対象 | 犬・猫が中心。鳥・うさぎ・ハムスター・フェレットにも対応 |
| 公式HP | https://www.ibr-ac.com/ |
取材・監修者

PetPort
ペット健康診断メディア
獣医師さんへの取材を通じて、ペットの健康と動物病院の正しい情報をお届けします。
