高円寺アニマルクリニック・高崎 一哉 院長インタビュー

ペット健康診断メディア PetPort

東京都 杉並区

「飼いさまの想いに寄り添う。」─動物保護への夢から始まった、高円寺の頼れるかかりつけ動物病院

高円寺アニマルクリニック

高崎 一哉 獣医師

中学時代に読んだ一冊の本をきっかけに、動物を守る仕事を志した高崎院長。日本獣医畜産大学で外科を専攻し、都内の動物病院での勤務を経て、1994年に高円寺アニマルクリニックを開院しました。診療で大切にしているのは、飼いさまそれぞれの価値観に寄り添うこと。複数の治療の選択肢とそれぞれのリスク・メリットを丁寧に説明し、飼いさま自身が納得して選べる診療を心がけています。慢性疾患のケアでは、完治よりも無理なく続けられることを重視し、健康診断では異常の発見だけでなく、その子の「正常値」を知ることも大切にしています。飼いさまとペット、双方の力になりたいという想いで、地域に寄り添い続ける高崎院長にお話を伺いました。

経歴

日本獣医畜産大学 外科学専攻 卒業
卒業後、都内の動物病院3軒にて9年間勤務
開業準備と並行し、地方の動物病院での診療にも従事
1994年 高円寺アニマルクリニック 開業

定期的な健康診断で、大切な家族の健康を守りましょう

目次

動物保護への想いから始まった獣医師への道

 獣医師を志された原点にはどのような思いがありましたか。

子供の頃から犬や猫と兄弟同然に過ごし、たくさんの動物に囲まれて育ちました。中学時代に『野生のエルザ』という本を読んだのがきっかけです。野生の子ライオンを保護して育てるという実話で、アフリカ・ケニアでの動物保護管理官の仕事に興味を持ちました。密猟などから動物を守る仕事に魅力を感じ、ナイロビ大学にその養成学科があることを知って、17歳の時にケニア大使館に直接相談に行きました。ただ、現地語の習得や外国人の入学制限など現実的な課題があり、最終的に日本で動物を守れる仕事として獣医師を選びました。動物を保護し守るためには、それなりのポジションと発言力が必要だと考えたことも、獣医師という職業を選んだ理由の一つです。

 外科を専攻されたのはどうしてですか。

臨床をやりたいという思いがあり、獣医の場合は大きく外科か内科かという選択になります。どうせ学ぶのであれば、最初から臨床の現場に直結する知識や技術を身につけたいという思いがあり、外科を選びました。外科は体の構造を正確に理解していないと成り立たない分野なので、学んでいく中で、結果的に解剖学的な知識という内科にも通じる土台も築くことができたと感じています。手を動かしながら学ぶことで、教科書の知識だけでなく、実際の診療現場で役立つ判断力が養われたことも、外科を選んでよかったと思う点です。

地方での経験から学んだ、動物への価値観の違い

 開業に至るまでで、今も心に残っている経験や学びはありますか。

東京で勤務医をした後、開業準備と並行して地方の病院で手伝いをした経験が印象的でした。地方では動物への向き合い方が東京とは違っていて、ペットとの関わり方についての考え方が地域によって大きく異なるということを、身をもって実感した経験です。当時の自分にとっては新鮮な驚きでしたが、その土地その土地に根づいた考え方があるのだと、多くを学ばせていただきました。

高円寺アニマルクリニックの外観と看板

 ご自身はどのような獣医師でありたいと考えていますか。

飼いさまとペットの力になりたい、という思いが一番にあります。若い頃は最先端の治療を説得してでも勧めたいと思っていましたが、経験を積む中で、飼いさまそれぞれの価値観や考え方を尊重することの大切さを学びました。飼いさまにとってのベストと、獣医師にとってのベストは必ずしも同じではないので、どんな形であれ、その方の力になれればいいと考えています。

 積極的な治療を選ばないという選択肢を示すこともあると伺いました。実際にはどのように治療方針を決めていくのでしょうか。

ペットは自分で生き方を決められないので、治療方針には飼いさまの価値観が反映されます。A、B、Cといった複数の選択肢を提案し、それぞれのリスクとメリットを説明した上で、飼いさまに選んでいただくようにしています。ご自身で判断していただいた方針であれば、結果がどうであれ受け入れやすくなりますし、ペットロスの軽減にもつながると感じています。

飼いさまへ説明する高崎院長

慢性疾患との向き合い方

 飼いさまがご家庭で無理なく続けられるケアとして、よくお勧めされることはありますか。

基本的には投薬と食事です。慢性疾患は完治するものではないことが多いので、QOL(生活の質)を保つことがポイントになります。一番大事なのは持続可能な治療で、ペットが受け入れられる範囲で、飼いさまとの関係性を壊さないような方法を一緒に見つけていくことを心がけています。

院内に並ぶ療法食・フードの棚

 飼いさまに早めに気づいてほしい体調の変化は、どんなものでしょうか。

「なんか変」と思ったら、その時点で連れてきてほしいです。食欲がいつもより落ちている、元気がない、歩き方がぎこちない、といった些細なサインでも構いません。飼いさまの「変」という感覚は、毎日そばで見ているからこそ気づける、かなり信用できるものだと感じています。「こんなものかな」「様子を見ていれば大丈夫かもしれない」と思うこともあるかもしれませんが、そこで一歩踏みとどまらず、気になった時点でぜひ相談してほしいとお伝えしています。結果的に何もなかったとしても、それは決して無駄な受診ではありません。早めにご相談いただくことで、大事に至る前に対処できるケースも多くありますので、遠慮せずに頼っていただければと思います。

院内の掲示物と時計

 診療の中で難しさを感じる場面はありますか。

インターネットで調べていただくこと自体はとても良いことだと思う一方で、情報が多い分、判断が難しくなってしまうこともあります。そうした時は、検査結果など客観的な事実を一緒に見ながら、丁寧にお話しするようにしています。また、投薬についても、続けるのが難しいご事情はご家庭によって様々です。無理をさせてしまわないよう、液体タイプの薬やサプリメントなど、その子とご家庭に合った続けやすい方法を一緒に探すようにしています。

 飼いさまとの信頼関係づくりで意識されていることはありますか。

十分な説明の時間を取ることです。診察を30分で終わらせるのではなく、必要であれば1時間かけてでもしっかりお話しすることを大切にしていて、それが長期的な信頼関係につながると感じています。また、雑誌への執筆やホームページでの情報発信を通じて、来院される方以外にも、正しい飼育方法が届くようにと心がけています。

高円寺アニマルクリニックの受付

長く通っていただくための工夫

 飼いさまに長く通っていただくために、工夫されていることはありますか。

フードのポイントカード制度を設けていて、同じフードをご購入いただくたびに1ポイントが貯まり、10ポイントで1袋プレゼントしています。継続してご来院いただくきっかけの一つになればと思っています。また、治療方針について家族の中で意見が分かれることもあるので、そうした場合はご家族皆さんに来ていただいて、同じように理解した上で方針を決められるようにしています。

 健康診断で大切にされていることはありますか。

異常を見つけることはもちろんですが、その子の「正常値」を知っておくことも同じくらい大切だと思っています。血液検査の数値などは、犬種や個体によって元々の傾向が異なることも多く、一般的な基準値だけでは判断しきれない部分があります。普段の数値がわかっていれば、少しの変化にも早く気づくことができますし、「その子にとっての正常」から外れていないかという視点で診ることができます。健康診断とワクチン接種のタイミングを合わせてご案内することが多く、まずは無理なく継続していただくことを大切にしています。その上で、意識の高い飼いさまには、年に一度だけでなく半年に一度など、より頻度を上げて継続的にデータを積み重ねていただけるよう心がけています。若いうちから定期的にデータを取っておくことで、シニア期に差しかかった時の変化にも、より的確に対応できるようになると考えています。

 ご家庭でできる、ちょっとした工夫としてお勧めしていることはありますか。

例えば、おやつの与えすぎが気になるご家庭には、一日分のおやつをあらかじめ箱に入れておいて、家族みんなでそこから分け合う、という方法をお勧めすることがあります。一人暮らしであれば管理しやすいのですが、ご家族で暮らしている場合、それぞれが「ちょっとだけなら」とおやつをあげてしまい、気づけば一日に何度も与えていた、というケースが少なくありません。誰か一人が厳密に管理しようとすると長続きしにくいものですが、あらかじめ一日分を取り分けておき、箱が空になったらその日はおしまい、というルールにするだけで、家族全員が自然と食べさせすぎを防げるようになります。特別な道具や我慢を必要としない、無理なく続けられる工夫として、多くのご家庭にお勧めしています。

 予防医療について、今感じている課題はありますか。

日本の狂犬病ワクチンの接種率が50%を切っているのは危惧しています。世界的に見ても、狂犬病が発生していない国というのは珍しく、日本はその数少ない国の一つです。だからこそ、これまで積み重ねてきた予防の努力を、これからも絶やさないでほしいと思っています。接種率の低下が続いている背景には、「室内で飼っているから大丈夫」「周りで流行っていないから必要ない」といった油断もあるのではないかと感じています。特に猫については、完全室内飼育が増えたことで、外に出る機会がないから大丈夫だろうと考える飼いさまが多く、ワクチン接種率がさらに下がっていることも懸念しています。ですが、脱走や災害時の避難など、思いがけず外の環境に触れる可能性はゼロではありません。日頃の診療の中でも、こうした予防医療の大切さを一人ひとりの飼いさまに丁寧にお伝えしていきたいと思っています。

 最後に、ペットと暮らす飼いさまへメッセージをお願いします。

飼いさまの意見や考え方を尊重して、犬や猫が嫌がらない方向で治療を進めていきたいと思っています。「これはできない」「こういうことはしたくない」ということがあれば、遠慮なくはっきり言っていただければ、それを踏まえた上で無理のない方法をご提案します。ペットは自分の言葉で気持ちを伝えることができないからこそ、飼いさまとの対話を大切にしながら、一緒に最善の形を探していきたいと考えています。ちょっとした体調の変化への気づきや、日頃感じている疑問、不安なことでも構いませんので、どうぞ気軽にご相談ください。これからも地域の皆さまとペットたちに寄り添い続けていきたいと思っています。

高円寺アニマルクリニック 外観

高円寺アニマルクリニック 基本情報

医院名高円寺アニマルクリニック
院長高崎 一哉 獣医師
住所東京都杉並区高円寺南2-14-14
電話番号03-3311-1014
診療時間月・火・水・木・金・土 9:00-12:00 / 16:00-19:00
休診日:日曜日・祝日・年末年始
診療科目総合診療(内科全科・一般外科)
診療対象犬・猫・ハムスター・鳥 等
公式HPhttp://www.koenji-ac.com/

取材・監修者

PetPort編集部

PetPort

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獣医師さんへの取材を通じて、ペットの健康と動物病院の正しい情報をお届けします。

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