
ペット健康診断メディア PetPort
埼玉県川越市 的場
「言葉にできない小さなサインを、見逃さない。」
──西洋医学と東洋医学を統合し、
高齢期ペットの健康寿命を支える川越のかかりつけ医
かたぎ犬猫病院・川越どうぶつ医療センター
堅木 道夫 院長
埼玉県川越市的場、JR川越線的場駅から徒歩約13分。地域のホームドクターとして犬・猫の生涯に寄り添うかたぎ犬猫病院・川越どうぶつ医療センター。近年増える高齢期の犬猫に向き合う中で、体力の低下や複数疾患を抱える個体には無理のない治療方針が必要だと実感し、生活の質(QOL)の維持を軸にした診療へと重心を移してきた。西洋医学に加えて漢方などの東洋医学も取り入れ、体への負担を抑えながら健康寿命を支える「統合医療」を目指している。
経歴
- 北里大学 卒業
- 日本獣医畜産大学(現・日本獣医生命科学大学)研究生として循環器を専攻
- 平成3年(1991年) 父の代から続く「かたぎ犬猫病院」を継承・開業
- 平成19年(2007年) 獣医循環器認定医 取得
- 令和8年(2026年) 北里大学獣医学博士 取得
所属
- 公益社団法人 埼玉県獣医師会 会員
- 日本獣医麻酔外科学会 会員
- 日本獣医循環器学会 会員
- 日本比較臨床医学学会 会員
- 比較統合医療学会 会員
定期的な健康診断で、大切な家族の健康を守りましょう
高齢期ケアの基本方針
高齢期のペットの診療で、大切にされている基本方針を教えてください。
高齢の犬猫は、複数の病気が重なって見つかることが多く、体力が落ちている分、若い頃と同じ治療がかえって負担になってしまうこともあります。ですので、無理に治すことだけを目指すのではなく、生活環境の調整とQOL(生活の質)の維持を中心に、飼い主さまと一緒に無理のない治療方針を考えることを大切にしています。年齢だけでなく、その子の体力や性格、ご家庭の状況によっても適切な治療の形は変わってきますので、一つの型にはめるのではなく、飼い主さまとよく相談しながら、その子に合った無理のない方法を一緒に探っていくようにしています。
こうしたお考えを持つようになったきっかけはありますか。
特別なきっかけがあったわけではなく、自分自身が年齢を重ねる中で、体調の変化や体の不安を感じるようになったことが大きいです。ペットにも当然同じことが起こり得ますので、高齢の子に対しては生活の質を整えてあげることが一番大切なのではないかと感じるようになり、近年はそれをより意識して診療を進めています。若い頃は多少無理をしても回復できましたが、年齢を重ねると同じ負担でも体への影響が大きくなることを自分自身の変化を通じて実感しました。犬や猫も同じで、無理に治療を頑張らせるのではなく、その子のペースに合わせて穏やかに過ごせる時間を大切にしてあげたいと考えるようになりました。


早期発見の重要性
健康診断の啓発にも力を入れられているそうですが、飼い主さまの意識の変化は感じますか。
意識が変わってきている飼い主さまもいらっしゃいます。ただ、健診の大切さをこれだけ丁寧にお伝えしている動物病院は、まだそれほど多くないのではないかと感じています。だからこそ診察の場だけでなく、こうした発信を続けることが必要だと考えていますし、これからも少しずつでも理解を広げていけるよう努めていきたいと思っています。
早期発見できた場合とできなかった場合とでは、何が違ってきますか。
早期発見の方が、その後の経過はやはり違ってきます。犬や猫は体の違和感を言葉で伝えることができないため、飼い主さまや私たちが少しでも早く異変に気づいてあげることがとても大切です。病気が発症する前の段階で体質を整えてあげることができれば、そもそも発症する前の状態を維持できることもあります。高齢になると複数の病気を抱えることも増えてきますので、必ずしも治せる病気ばかりとは限りませんが、それでもその子が穏やかに過ごせる時間、生活の質をできる限り保つことを念頭に、スタッフとも相談しながら診療を進めるようにしています。

日常で気づいてほしいサイン
飼い主さまに日常で気をつけてほしいサインを教えてください。
小さなサインを見落とさないでいただきたいです。具体的には、食欲の増減、飲水量の変化、夜鳴き(認知症や痛みのサインである可能性があります)、トイレの状態(尿や便の量・状態)などです。食欲がある場合でも、それ自体が病気のサインであることもあります。こうした小さな変化は、ご家族と一緒に暮らしているお家の方でないと気づけないことが多いので、日々見てあげることが特に高齢期には重要になってきます。
例えば食欲がなくなった場合、どのくらいの期間様子を見てよいものでしょうか。
中年期を過ぎた犬猫で、食欲不振があれば、まずは受診することをおすすめします。もし病気であれば、その間にも体はどんどん悪い方向へ進んでしまう可能性があります。まだ若い個体で、わがままによる食欲不振であれば1週間ほど様子を見ても大丈夫なことが多いのですが、高齢期になってからは数日でも長すぎると考えています。特に高齢の子は体力の余裕が少ないため、食欲不振が続くとそれだけで体重や筋力が落ち、他の病気への抵抗力にも影響しかねません。少しでも様子がおかしいと感じたら、様子を見過ぎずにご相談いただくのが安心です。
サインの現れ方には、個体差もあるのでしょうか。
はい、その子によって表現の仕方が違います。痛みがあっても「痛い」というそぶりを見せない子も多いんです。以前、元気なのに突然走り出すという相談を受けた犬がいたのですが、原因はノミで、ノミ駆除の予防薬をつけてあげたら治まりました。ちょっとした異変をどう捉えるかが大切で、少しでもおかしいと思ったら早めにご相談いただくのが一番だと思います。長く一緒に過ごしているご家族だからこそ気づける、いつもと違う仕草や表情の変化は、私たち獣医師が診察室だけで得られる情報よりも多くのことを教えてくれます。「気にしすぎかもしれない」と思うようなことでも、遠慮せずにお話しいただければと思います。


定期健康診断
定期的な健康診断は、どのくらいの頻度で、どのような内容を受けるのがよいですか。
7歳からをシニア期とみなし、7歳を超えたら最低でも年1回、10歳を超えたら半年に1回の健診をおすすめしています。また、若いうちから検査を受けておくことで、その子自身の基準値(正常値)を把握でき、小さな異変にも早く気づけるようになるので、1歳からの検査もおすすめしています。検査内容としては、若いうちはCBC(血算:血液の成分や数)と生化学検査が基本です。シニア期に入ったら、腎臓病や心臓病のマーカー、甲状腺のホルモン検査の血液検査を追加しています。そしてシニア期の後期には半年に1回のペースで検査をおすすめします。
近年、犬猫の寿命が伸びる中で、増えている病気はありますか。
人と同様に、腫瘍(がん)、腎臓病、心臓病、代謝病が増えてきていると思います。今後も検査技術が進むことで、より早い段階での発見につながっていくのではないかと考えています。

早期発見の実例
実際に健診がきっかけで早期発見につながった症例はありますか。
いくつかあります。ある高齢の犬では、飼い主さまが「年齢のせいで寝ている時間が多いのだろう」と思われていたのですが、検査で甲状腺ホルモン値の低下が見つかり、ホルモン剤の投与によって延命につながったケースがありました。また、以前から心臓に雑音があるとお伝えしていたものの、飼い主さまとしては症状がなくあまりピンときていなかった犬で、心臓ホルモン値の上昇が判明し、精査・投薬に至った例もあります。さらに、歩行異常の高齢犬で尿中マーカーを調べたところ老化に伴う関節炎とわかり、漢方の痛み止めと注射で改善した例もあります。

西洋医学と東洋医学の統合
西洋医学と東洋医学を組み合わせた診療をされているとのことですが、どのような考え方で取り入れられていますか。
高齢になり合併症を抱えている子の場合、西洋医学の薬剤の中には使用制限や長期投薬は控えなくてはいけない薬剤があります。そのようなケースでは漢方薬(東洋医学)を取り入れることで、体への負担を軽減できると考えています。西洋医学だけでは補いきれない体質改善や全身のバランス調整には東洋医学を活用する、「統合医療」を目指しています。漢方の成分自体は人間用のものと同じで、体重に応じて量を調整して使っています。漢方は治療だけでなく、病気の予防に使える場合もあります。取り入れるようになったきっかけは、大学時代に研修を受けた恩師の影響です。恩師はさらに独自の技術も持たれていましたが、自分自身はその中でも取り入れやすい範囲を、日々の診療の中で少しずつ実践するようにしています。近隣では漢方を取り入れている動物病院はまだ少ないのではないかと感じています。


飼い主さまへのメッセージ
最後に、飼い主さまへメッセージをお願いします。
ペットは自分の体調を言葉で伝えることができません。だからこそ、ちょっとした違和感に気づいたら、早めに動物病院にご相談いただくことが、健康寿命を保ち、ペットと飼い主さまが長く良い関係を続けていくことにつながります。飼い主さまの中には、気を遣ってつい様子を見てしまう方も多いのですが、気軽にご相談いただける環境づくりも私たちの課題だと感じています。もし気になる様子があれば、動画を撮っておいていただけると、診察の際にとても参考になります。犬や猫と過ごせる時間には限りがありますが、その時間をできるだけ健やかに、そして穏やかなものにしていくことが、私たち動物病院の役目だと思っています。飼い主さまと同じ方向を向きながら、その子の変化を一緒に見守っていけるような関係を、これからも大切にしていきたいと思います。

かたぎ犬猫病院・川越どうぶつ医療センター 基本情報
| 医院名 | かたぎ犬猫病院・川越どうぶつ医療センター |
| 院長 | 堅木 道夫 |
| 住所 | 〒350-1101 埼玉県川越市的場565-5 |
| 電話番号 | 049-232-0481 |
| 診療時間 | 火〜土 9:00〜11:30/16:00〜18:30 日 9:00〜11:30のみ 休診日:月曜・日曜午後・祝日 |
| 診療科目 | 総合診療・内科・外科・循環器系疾患・東洋医学 |
| 診療対象 | 犬・猫 |
| 公式HP | https://katagi.net/ |
取材・文:PetPort編集部 監修:堅木 道夫(かたぎ犬猫病院・川越どうぶつ医療センター 院長)
取材・監修者

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