あすなろ動物病院・沼尻祥吾院長インタビュー

ペット健康診断メディア PetPort

茨城県那珂市 菅谷

「治りきるまで、見届ける。」

──前院長から引き継いだ地域の病院で、動物に優しい医療と健康診断を通じて、飼い主と動物の絆を長く守るかかりつけ医。

あすなろ動物病院

沼尻 祥吾 院長・獣医師

茨城県那珂市菅谷、開業から25年以上にわたり地域に親しまれてきたあすなろ動物病院。2022年、前院長からバトンを受け継いだ沼尻祥吾院長は、「動物たちの元気な姿を見届けること」を診療のゴールに据え、お薬で症状が落ち着いたように見えても、本当に治りきったかどうかを診察で確認することを大切にしている。予約診療制による負担の少ない医療や、年1回・シニア期は半年に1回の定期検診を軸に、飼い主と動物の長い絆を支え続けている。

経歴

  • 茨城県水戸市 出身
  • 北里大学 獣医学科 卒業(2016年)
  • 2016年 あすなろ動物病院 就職(勤務医)
  • 2022年 同病院 院長就任

定期的な健康診断で、大切な家族の健康を守りましょう

目次

前院長から引き継いだ、25年以上続く地域の動物病院

2016年に勤務医として入職され、2022年に前院長から病院を引き継がれたとのことですが、引き継ぎのお話があったときのお気持ちと、引き受けることを決めた理由を教えてください。

当時は30歳で、自分が思い描いていたよりも早いタイミングだったので、迷いがなかったわけではありません。ただ、2016年から勤務してきたこの病院を、前院長の引退を機に引き継げるのは、自分にとって大きな機会だと感じました。

勤務医として過ごすなかで、この病院での診療にも親しんでいましたし、これまで積み重ねてきたものを、今度は自分が受け継いでいきたいという気持ちが強くなりました。そう考えると、ここで一歩踏み出すことに意味があると思い、引き受けることを決めました。

開業から25年以上、地元の方に通われてきた病院を引き継ぐにあたり、「これは変えずに守ろう」と決めたことと、ご自身の色を出そうと考えたことがあれば、それぞれ教えてください。

一番は病院の名前ですね。長く続いている病院で、この辺りでは名前が周知されているところがあるので、名前を変える案もあったのですが、現時点ではそのまま使っています。方針の根幹となる部分も、大きくは変えていないつもりです。予防医療への力の入れ方も、自分が最初に入った時からワクチンなどのケースが多く、それを受け継いでいる形です。自分の色については、この病院が自分にとって最初の勤務先ということもあり、地域に根差した診療を軸に、一人ひとりの飼い主さんや、わんちゃん・ねこちゃんとじっくり向き合う、地域密着というところを大切にしていきたいと考えています。

獣医師を志したきっかけと、あすなろ動物病院との出会い

水戸市のご出身で、北里大学獣医学科を卒業されていますが、獣医師を目指すようになったきっかけと、卒業後の最初の勤務先としてあすなろ動物病院を選ばれた理由を教えてください。

きっかけは、ありきたりかもしれませんが、実家で小さい頃に犬を飼っていたことが一番大きいです。動物と触れ合う機会がかなり多かったと思います。進路を考えるときに医療系に進むか物理系に進むかで一度悩み、医療系の中でも薬剤師と医者と獣医で悩んだ結果、人よりも動物を見たいという思いから獣医師を選びました。あすなろ動物病院を選んだ理由は、もともと地元がこちらの方面の出身だったこともありますが、一番の決め手は診療の幅の広さでした。学生時代にインターンのような形で研修をしながら何軒か病院を探していたのですが、その中でもあすなろ動物病院は診られる症例の範囲が特に広く、犬猫はもちろん幅広いケースに携われる環境だと感じました。一人の獣医師としてできるだけ多くの経験を積みたいという思いもあったので、他の病院もいくつか見た上で、ここでなら学べることが多いだろうと考え、あすなろ動物病院で働くことを決めました。

診療のゴールは「動物たちの元気な姿を見届けること」

お薬で元気になったように見えても「本当に完治したかどうか診察で確認する」ことを大切にされているそうですが、この方針を強く意識するようになった背景に、印象に残っている症例や出来事はありますか。

これは最初に入った病院での教えが今も続いている形です。投薬しながらも、確実に治療の終わりまで見るというふうに教わってきて、それが今のスタイルにつながっています。一番多いのは怪我ですね。表面上は治って見えても、中で化膿していたり、傷そのものが治っていなかったりすることがあります。特に多いのが、外で過ごす時間が多い猫ちゃんの喧嘩による傷です。傷が浅く見えても、早い段階でお薬をやめてしまうと、表面は治って元気も出てくるので、「もう大丈夫」と安心されるのは自然なことだと思います。ただ、実は皮膚の中では膿んでしまっていることがあり、しばらくしてからまた傷が破れて再発してしまう、というのが一番見落としやすいパターンですね。風邪なども一旦治ったように見えて、また戻ってきたりすることがあります。猫ちゃんもワンちゃんも症状を隠す傾向があるので、元気そうに見えても、実は治りきっていないことが結構あるんです。そのため、飼い主さんに「もう大丈夫そうだから」と安心していただいた時こそ、きちんと最後まで診させていただきたいと思っていて、来院いただいた際にはできるだけ次の予約を入れていただくようにし、治りきるまで一緒に見届けられる体制を心がけています。

予約制と「動物に優しい医療」

緊急時以外は電話での予約診療制とのことですが、予約制にすることで、診察の質や動物たちの様子に実際どのような変化がありましたか。

これも私が入った時からずっと続いている体制で、もう10年ほどは予約制が続いていると思います。一番のメリットは、まず待ち時間を減らせることです。それに加えて、予約をいただく時点で、その日の検査にどれくらい時間がかかりそうかをある程度把握できるので、必要な時間をあらかじめしっかり確保しやすいという利点もあります。結果として、飼い主さんの待ち時間が減るのはもちろんですが、ねこちゃんもわんちゃんも、慣れない場所で長く待たされること自体が大きなストレスになりますので、そのストレスを減らせるという意味でも、予約制にしている効果は大きいと感じています。

健康診断・定期検診への考え方

年1回、7歳以上は半年に1回の定期検診を推奨されていますが、この頻度を勧める理由と、実際に検診をきっかけに見つかることの多い病気を教えてください。

理由としては、人と犬猫では年を取るスピードが違うことが大きいです。大型犬だと1年で4〜6歳分くらい進むこともあります。そう考えると、半年に1回というのは、人でいう2年に1回、場合によっては4年に1回くらいの頻度で健診を受けているのと同じような感覚になります。なので、最短でもそのくらいの頻度をおすすめしていて、病気の状態によってはもっと短く、2〜3ヶ月ごとに調べることもあります。若くて健康であっても、年1回は受けていただくようにしています。あとは覚えやすさもあって、キャンペーンを行い、血液検査や健康診断で来院しやすいタイミングを作るようにもしています。検診で見つかることが多い病気は、猫では甲状腺機能亢進症、犬では甲状腺機能低下症です。飼い主さんが気づいている場合もありますが、検診で初めてわかることも多いですね。年齢による変化なのか病気なのか、見分けがつきにくいところがあるので、そこが検査で引っかかってくるポイントだと思います。

血液検査・レントゲン検査・超音波検査を「症状や年齢を考慮しながら」組み合わせるとのことですが、その子にどの検査を行うかを決めるときの先生の判断基準を教えてください。

症状や年齢のほかに、好発品種も判断材料にしています。この品種にはこの病気が多い、とわかっている場合には、それに対応した検査をおすすめしています。例えば、今通院されている方でスコティッシュフォールドを飼われている方がいるのですが、心臓と関節を定期的に見ていますし、純血種は心臓の病気が多いので、超音波検査を組み合わせている子もいます。希望があれば、シニアに入る前から精密検査を行うこともあります。病気の検査については、症状が出て疑われた段階で行うという形になります。

「うちの子は元気だから検診はまだいい」と考える飼い主さんに対して、先生はどのように伝えていますか。

何も問題がない時の検査結果と比較することで、わかることがありますよ、とお伝えしています。データを取っておくことで、何か数値に異常が出たときに「この時と比べて上がっていますね、治療が必要ですね」という説明がしやすくなりますし、何もないことを確認できること自体が安心につながる、という話もしています。もちろん、納得していただける度合いは飼い主さんによってさまざまです。意識的に定期的に調べてくださる方もいれば、そうでない方もいらっしゃいますが、どちらの場合も、その方のペースに合わせながら、少しずつ検診の大切さをお伝えできればと思っています。

定期検診がきっかけで病気が早期に見つかり、治療につながった飼い主さんと動物のケースで、特に印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

太ってきて元気がなくなり、あまり歩かなくなったワンちゃんがいたのですが、調べてみると甲状腺の問題であることがわかりました。お薬を始めたところ元気とやる気が戻って、以前のようによく散歩に行くようになった、という話は決して少なくありません。あとは、何も症状がない状態で検査をしたところ腫瘍が引っかかり、早い段階で見つけられた子もいます。定期的な検診で早期に見つかるかどうかで、その後の経過はだいぶ違ってきます。早い段階で見つかれば、食事の管理といった負担の少ない方法で対応できることもありますし、使える薬の選択肢も広がりますので、その子にとっても、飼い主さんにとっても、無理のない形で付き合っていきやすくなります。定期的な検診を通じて早い段階で気づいてあげられることは、その子のその後の生活の質にも大きく関わってくると感じています。

セカンドオピニオンという選択肢

他院を受診中の飼い主さんに意見を提供するセカンドオピニオンを掲げていらっしゃいますが、相談を受ける際にどのような姿勢で向き合っていますか。実際に相談が多い内容があれば併せて教えてください。

他の病院さんから来られる方はいらっしゃいます。よくあるのは、症状が治らない、この治療を続けていていいのか、数値が全然変わらない、あるいは薬をやたらと勧められるけれど本当に飲ませていいのか、といったご相談です。今まで続けてきた治療で効果が見られないのであれば、大きく方向性を変える必要があると考えています。ですので、そうしたご相談を受けた場合には視点を変えて、今まで使われていない方法や別の選択肢をご提案するようにしています。同じことを続けていても、飼い主さんが求めている結果にはつながらないと思いますので、大きく変えることを目標にしています。

スタッフとチームづくり

愛玩動物看護師の方が3名在籍されていますが、看護師さんに担ってほしい役割や、チームとして大切にしていることを教えてください。

獣医師は私一人でやっているので、大きな病院のようにいろいろな人がいろいろな役割を担う、というのはなかなか難しい部分があります。今は愛玩動物看護師の資格を持っているスタッフに、保定や受付など、一人ではどうしても対応しきれない部分をお願いしています。特に保定は看護師が担ってくれることで診療がぐっとスムーズになりますし、今後はさらに採血や注射、点滴といった部分でも活躍してもらえる場面を増やしていきたいと考えています。チームとして大切にしていることとしては、飼い主さんに気軽に話してもらえる環境づくりですね。獣医師には話しにくいことでも、看護師になら話せる、ということが結構あります。「実はうちの子、ちょっとおやつをあげすぎちゃって」といった飼い主さんならではの本音が、注射の準備をしている間などに自然と出てくることもあります。

地域の飼い主さんへ、これからの病院像

那珂市菅谷を中心に、杉・竹ノ内・横堀など周辺地域からも来院があるそうですが、この地域の飼い主さんや動物たちの傾向と、これからあすなろ動物病院として目指したい姿を教えてください。

この地域特有の傾向というのはやはりあると思います。都会と田舎とでは飼育環境も違いますし、飼い主さんが求めるものもさまざまです。高度な医療を求める方だけでなく、住み慣れた地域で無理なく通える範囲で診てほしいという方も多くいらっしゃいます。難しいケースについては県外の病院と連携し、紹介状をお出ししながら一緒にサポートする形をとっていますが、それぞれのご家庭の事情やペースに合わせて、できるだけ無理のない形で診療を続けていけるよう心がけています。目指したい方向としては、できる限りオールマイティにいろいろな症状を診られる病院でありたいと思っていますし、それでも難しい部分は紹介も含めてしっかり連携しながら、その子にとって一番いい方向を一緒に探していく、という診療をこれからも続けていきたいと思っています。

あすなろ動物病院 基本情報

病院名あすなろ動物病院
院長沼尻 祥吾(ぬまじり しょうご)
所在地〒311-0105 茨城県那珂市菅谷5445-1
電話029-295-5955
診療時間AM9:00〜11:30/PM2:00〜6:00(日曜は午前のみ・継続診察の完全予約制)
休診日木曜・日曜午後・祝日・臨時休診
診療内容予防診療、避妊・去勢、定期検診、内科、皮膚科、外科、セカンドオピニオン
対象動物犬・猫
公式サイトhttps://www.asunaro-pc.net/
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